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2017年3月23日(木)

【朝カル・テクニック講座 第2弾・第3回 レポート】

先週金曜日、3月17日、朝日カルチャーセンターにて開催されておりますピアノテクニック講座の第2弾が終了いたしました。
大変遅くなってしまいましたが、レポートを掲載させていただきます。

第2弾の第3回、テーマは「ペダリングの魔法」
最初に取り扱いました《バッハ 平均律》では、バロック時代の曲や、その時代の楽器とペダルとの関係を説明いたしました。
・バロックだからといってペダルを使わないわけではない
・かえ指にも限界があり、ペダルで補うこともある
・音自体に響き、さらには楽器の鳴りを持たせること 等
ペダルがなくても繋げることができても、ペダルを使用することで響きのないところでも響きの効果を出すことができる。その違いを実演し、様々なシーンで使えるということを目の当たりにできたことと思います。

ロマン派の例として取り上げたのは《シューマン クライスレリアーナ 2番》
まずはじめに、シューマンがつけたペダル記号の意味を考えること。
ペダルは“楽器の音色まで変えてしまうもの”ということを理解した上で、響きを計算してコントロールすること。
また、ここではスタッカートとペダルについての説明をいたしました。
ペダルを踏んでもスタッカートに聴こえる方法として、指の入力のしかた、プロポーションで弾くことで効果があり、タッチとペダルとが、全て融合することで全ての要素が活きるということ。
さらに細かい指示があるのはショパン。扱ったのは《バラード3番》です。
この曲では休符とペダルで作る効果についての説明がありました。
楽譜から読み取るべきことは、“バスを響かせ、休符を尊重させよ”であり、バスに合わせたペダルの指示はオーケストラを思わせるものと考えられます。
《バラード1番》では、出だしと戻ってきたところの休符の性質が違うということ。その違いを感じ、ペダルの効き目、強さを判断しなければいけないのです。
それはペダルを“譜面通りに踏む”のではなく、その“響きの中で踏む”という意識を持たなければならないのだと感じました。
また、踏み換える音が雑音のもとになることについても話され、それは鍵盤とペダル、それぞれの深さや可動範囲を把握することが重要であり、フレーズの終わりの消し方で印象が変わるということについては、そのピアノの弱点を知り、切れやすい音をカバーする方法を考え、そのピアノの特徴を知ることなど、コンサートでリハーサルをする目的についてもお話がありました。

“こういう音が欲しい=無意識にできるような領域を目指す”という例として取り上げた、《ベートーヴェン テンペスト》では、求めた響きの量でペダルを使えるように様々な使い方を模索すること。《ワルトシュタイン》ではざわめきが濁らないように、と説明がありましたが、《ドビュッシー 月の光》では、にごりが大事な要素である場合の例を話されました。
これは真ん中のペダルを使わなくても、右のペダルだけでバスを残して弾くことが可能である。2本ペダルだからと諦めてはいけない。と、右ペダルの大きな可能性についてもあわせて説明されました。
ドビュッシーにつきましては、《ベルガマスク組曲》《映像》等も取り上げ、フィンガーペダルと足のペダルを繋ぐこと。その練習方法について。
“なに で どれ がのびていて、どれ が なに で伸びているのか。”
全てに意識をもち、片方を片方で補うことも大事で、“間違ってペダルを取ってしまったから指で繋ぎに行く”などの実演もありました。
ここで重要なのは、鳴っている音を拾う練習です。例として上がったのは《ラヴェル 夜のガスパール》
何のおかげでのびているかを計算し続け、アンバランスになることを回避。過剰に濁らないようコントロールすることが求められるのです。
消えている音が聴こえているように聴こえるのは、切れた瞬間を意識していないから。
気付いた時には次のバスが鳴っているから。等、
様々なところに“魔法”を感じられるのですが、原理はどれもはっきりしており、解析することができる。
これはもしかしたら、“イリュージョン”なのかもしれないと、2回目の「ペダリングの魔法」を受講し感じたのは私だけではないでしょう。

最後に、オーケストラで別の楽器が補い合うように、ペダルによってその効果が得られ、
トランペットのように。弦楽器のように。ティンパニのように……。
と、必ず似た音を出すことは可能であると話されました。
例に上がったのはモーツァルトです。
「オペラだったら?」
と考えることにより、音の響きを想像し、より豊かな音楽を引き出すことができるのです。

さて、次回第3弾、第1回のお日にちに変更がございます。
第3弾の日程は下記の通りでございます。

・第1回 5/19 タッチの基本…強弱、そしてアーティキュレーション
・第2回 6/2 フィンガリングの奥義…レガート、フレージング
・第3回 6/30 ペダリングの魔法…どこで、なぜ、どのように
詳細

いずれも金曜日の19:00-20:30、会場は朝日カルチャーセンター新宿教室です。
第2弾は様々な曲を取り上げ、応用などを実践的に学びましたが、第3弾となります次回、タッチ・フィンガリングにつきましては、より皆様の疑問やお悩みを解決する場となりますよう、皆様と対話をしながら進めます。
ペダルに関しましては、皆様の疑問やお悩みを事前に受付て参りますので、ご希望がございましたら、取り扱って欲しい曲目や箇所(小節数など)、お悩み等を明記の上、下記アドレスまでお寄せくださいませ。
(時間の都合上、全てのリクエストにお答えできない場合がございますが、ご了承くださいませ)
☆mail@ykpianoforte.com

【お知らせ】
次回、朝日カルチャーセンターにて開催されます講座はレクチャー&コンサートになります!
★4月28日(金)
「菊地裕介 ピアノの世界」
テーマ;ロベルト・シューマン《謝肉祭》
5月10日東京文化会館で行われるリサイタルに先立ち、魅力や聴きどころ、演奏のポイントなどを実演を交えて解説いたします!
詳細

朝日カルチャーセンター新宿教室へ、ぜひお越しくださいませ!
皆様のご来場をお待ちしております。
(N.K)