菊地裕介
東京生まれ。母の手ほどきののち桐朋小学校に入学、桐朋学園子供のための音楽教室にて皆川紀子、加藤伸佳に師事し、桐朋女子高等学校音楽科2年在学中に日本音楽コンクール第2位入賞。卒業と同時に渡仏し、ジャック・ルヴィエ、プリスカ・ブノワに師事。ローム ミュージック ファンデーションより助成を受け、パリ国立高等音楽院高等課程を経てピアノ研究科を修了したほか、歌曲伴奏、作曲書法の高等課程にてアンヌ・グラポット、ジャン=クロード・レイノー、ティエリー・エスケシュ、マルカンドレ・ダルバヴィらの指導を受け、パリ音楽院では合計5つの一等賞を受け修了。また文化庁新進芸術家海外留学制度在外研修員として、ハノーファー音楽大学にてアリエ・ヴァルディのもとで学び、ドイツ国家演奏家資格を取得。この間アンジェイ・ヤシンスキ、ミハイル・ヴォスクレセンスキー、オレグ・ポリャンスキー氏らにも定期的な指導を受けた。
マリア・カナルス国際、ポルト国際、プーランク国際コンクールで優勝、またジュネーブ国際、ベートーヴェン国際(ウィーン)など、世界的権威あるコンクールにて入賞する。欧州の多くの国々でリサイタルを開催、また各地のオーケストラと共演を重ねた。国内では東京交響楽団、東京都交響楽団、東京フィル、東京シティフィル、仙台フィル、大阪シンフォニカー、名古屋フィルなど、室内楽では清水和音、永野英樹とのピアノデュオ、オーボエのモーリス・ブルグ、フルートの瀬尾和紀との共演がいずれも好評を博したほか、「1000分のベートーヴェン(ピアノソロ曲全曲演奏会)」「ドビュッシー/ピアノソロ曲全曲演奏会」などのリサイタル活動も意欲的に展開している。「ベートーヴェン/ピアノソナタ全32曲」「ラヴェル/ピアノソロ作品全集」(オクタヴィア・レコードTRITON)など録音も多数リリース、最新盤の「ベルリオーズ・幻想交響曲」(VIRTUS CLASSICS)を含めその大半がレコード芸術誌上にて特選盤となっており、玄人筋の評価を得ている。
2007年に帰国後、東京藝術大学、桐朋学園大学、洗足学園音楽大学の非常勤講師、名古屋音楽大学客員准教授を歴任。秋吉台ミュージック・アカデミーをはじめとする各地のセミナー、マスタークラスの講師を務める。近年は青少年の育成にも力を注ぎ、多くのコンクール(PTNA特級ファイナル、YJPCグランドファイナル、かながわ音楽コンクール本選など)の審査員を歴任している。小池百合子都知事の招集による東京都政策企画局 東京未来ビジョン懇談会メンバー。現在は東京音楽大学専任講師、株式会社 演 代表取締役、CJM神宮の杜音楽院(東京都渋谷区)院長。
情操教育としての一面や、反復的な努力の対象としてばかり礼賛される従来の音楽教育観には反旗を翻し、合理性、論理性による長期的な基礎力の追求、読解力の向上を旨としたリベラル・アーツ教育、指導者のリスキリングなどを通し生涯学習を指向する音楽教育を提唱している。5歳女児と2歳男児の育児にも奮闘中。